(電子工作)
 
 
 オートバイのガソリン残量計テスト (工事中)2009年春〜

 
 
 最近は慣れてきたので、ガソリン補給からの走行距離を気にするようにしているが、当初は突然のガス欠エンスト(補助タンク前)で焦ったことがある。
 やはりツーリング仕様車としては、ガソリン残量計がほしい。

 市販車で一般的な、フロートポテンション式を入手して付けることを考えたが、ガソリンタンクに穴を開ける必要があり、機械的加工と漏れ止めに不安がある。

 そこで圧力(位置エネルギー)を感知するセンサーを付けて、残容量を表示するものを製作してみることにした。

 表示は0.5リットル間隔で、実容量を数字でLCDに表示する。
 たとえば、15.5→15.0→14.5→14.0 というような感じ。 (小数点の9〜6、4〜1は切り捨て表示。)

 
 
微圧センサー

 
   
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 "ハウネル製 40PC001B1A"

 クランクケース内負圧計製作時の使い回しだが、
 後日、ガソリン残量計用として転用できる
 ように選定していたものである。

 耐ガソリン性で、微圧の正圧、負圧を測れる。


 9,800円(税込)もしたが、5Vの電圧を供給するだけで、
 比例出力電圧が得られ、簡単手軽に扱えそうだった
 ので採用した。

 (電池は大きさ比較用)
 
   

は、ネット検索で見つけたもの。
pdfファイルの画面コピー。


仕様は
供給電圧:5VDC±0.25
消費電流:10mA max

圧力ゼロで2.5V出力
-50mmHgで0.5V出力
+50mmHg(679.8mmH2O)で4.5V出力

0.02942237V/cmH2Oということになる。

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センサーケース製作

 
   
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 微圧センサーとガソリンホースとの接続をどうするか悩んだが、
 ヘタをするとガソリンの漏れが心配である。

 それでガソリンタンクからキャブレターへの接続ホース途中に、
 埋込方式で直付けすることを考えた。
 
   
FCRキャブレターのホースはφ6mm仕様であったが、
ジェベルのタンクコック〜キャブレター間はφ5mmである。
異径ホースを接続する金具を製作して使用していたが、
そこへ微圧センサーを埋め込むように取り付けることにした。

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 素材φ32mmのA2017(ジュラルミン)から削り出しとした。

 一体にすることで、漏れのリスクを少なくする。
 
   
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 少しずつ慎重に削って、大体完成。
 
   
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 フタを付けたところ。

 基本設計寸法図(PDF14.3KB)は→ 【 こちら  】
 
 
センサー挿入

 
     Oリングは耐ガソリン用として、フッ素ゴムを使用した。

 
   
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 センサーの端子には、熱収縮チューブを被せてショート防止をした。

 センサー室には雨や洗車の水が入らないようにするが、大気圧を感じるようにする必要がある。(完全密閉してはいけない)
 上写真のピンクのホースは内径φ3mmの耐油のものを仮に付けた状態だが、実際の設置ではメーターの下まで敷設しておく。 万が一、センサー室内でガソリンの漏れが発生した場合、地面に出てしまわないようにするため、ガソリンタンクより高い位置で解放しておく。

 
   
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  ハンドル支点は中空になっていて、ゴムカバーが付
 いている。

  そのゴムに穴を開けて、少しだけ差し込んでおくこと
 にした。
 
   
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余談

 ゴムのフタを外すと…、うっ、何かある…。

 何かの巣だなぁ、気持ち悪る〜。
 しかし、取らないで走行中に出てきたらイヤだし。

 エアーダスターでプシューとやっても取れない。
 ティッシュを丸めて詰めて、棒で下に押し出した。
 (クモの冬眠だったのかな。)
 
 
計測データー採取

 
   
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 仮設した状態。
 
   
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 ペットボトルに100YENショップの計量カップで水を500ml入れ、
 マジックペンで印線をつけておいた。

 それを基本容器として、0.5Lごとの電圧をチェックしていく。

 ガソリンを0.5L入れては電圧を測りを約30回繰り返す、地道な
 作業である。

 ペットボトルはガソリンで融けないが、ラベルはドロドロに融け
 る。この撮影の後、少しこぼれたガソリンでベタベタになり、
 それが手に付いて、なかなか取れなくて大変だった。
 
   
生データー


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・オートバイはメンテナンススタンドを使用し、垂直水平にして測定した。

・その状態からガソリンコックを補助タンク開にして、
ホースから出なくなるまで抜いたところをゼロとした。

※ジェベル250XCのガソリンタンクは、背骨フレームにかぶせるような形状になっていて、少ない状態では、
  ガソリンコックと反対側の右の下膨らみにガソリンが残っているはずである。

15.5L入れたところで、ほぼ満タンになった。(入れ口リング下に付くところまで。)
 カタログでは17Lになっているので1.5Lがまだ残っているのかもしれない。
 なお予備容量の計測していないが、実走行にて予備に切り替え必要となった距離と平均燃費から計算すると、
 12.8Lであった。
 実際の満タンは、セルフでサイドスタンで行うので、その状態から12.8Lでリザーブになると覚えておく。
 そうするとリザーブの容量は2.5L程度ということになる。

※グラフにしてみると、意外と直線になった。
  (タンクは円筒じゃないので、もっと複雑な曲線になることを予想していた。)

 
 
PICワンチップマイコンで表示

 
     A/D変換で約30種類のデーターを表示するだけだから簡単だと思っていたが…、うまく出来ない。

 8bitの分解能だと、基準電圧5.0Vとすると、5÷255=0.0196V/1bit なので、0.5L刻み判定ができない。
 それで10bitの分解能を使用することにした。10bitの分解能を使用するのは今回初めてである。
 5÷1023=0.00488V/1bitなので十分使えると思ったが、A/D変換値が安定しない。

 グランドを変更したり、コンデンサーを入れたり、抵抗を接続しても変わらない。もちろん
エンジン停止状態。
 今度は3.00Vの電圧を測定するようにしてみたが、やはりA/D値が安定せず、10進で10以上変動する。

 なぜ(?_?)

 何か原因というか、コツがあるのだと思うがつかめない。


※しょうがないので、とりあえず8bitの分解能で表示することにした。最大1リッター前後の誤差が出るが、目安になるので使えないよりはよい。

 A/D変換表は→ 【 こちら 】 エクセルデーター 20.5KB

 しかし、8bitの分解能にしても安定しなかった。

 
 
5V別電源テスト 2010年 8月

 
    PICのアナログ→デジタル変換は基準電圧がぴたっと安定しないとダメということが分かった。
基準電圧ダイオードを使用することも考えたが、まずは手っ取り早く、比較的安定していると思われる、
CMOSロードロップ3端子レギュレーターIC「XC6202P502TB」を使用してテストしてみる。
XC6202P502TBは秋月電子通商で2個入り100円、入力最大電圧20V、最大電流150mAという仕様。

各電子部品は基板無しの直ハンダ付けとし、防水防振としてクリスタルレジンで固めた。
出力には通電確認用としてLEDを取り付けた。

これを微圧センサーとPICの専用電源として使用してみる。

 
   
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 入り口側(12V)は
 チップ積層セラミックコンデンサー10μF25V
 を取付。

 出口側(5V)は
 タンタルコンデンサー10μF25V
 と
 積層セラミックコンデンサー10μF10V
 と
 φ3緑LED+330Ω
 を取付。
 
    [ 結果 ]

エンジンを始動させるとやっぱ安定しない!なぜ?

電圧計は1mVまで表示できるテスターを使用して、センサーの出力を計測したが、値が安定しない。
PICでA/D変換する以前の問題である。
そこで、
予備の別バッテリーを使用して、センサーを別電源化してみた。そーすると元電圧変動の影響を全く受けないはずである。

ところがエンジンを始動するとセンサー出力値が振れる。

エンジンの振動をセンサーがひろっているのではないか?
キャブレターとセンサーは短いゴムホースで繋がっているので、微振動が伝わりそうな気がする。

予備のホースがあったので、キャブレターとセンサー間を長ーいホースで接続し直してみた。

しかし、変わらない。 うーん不思議!?

ガソリンタンクからキャブレターへの途中にセンサーを付けたので、ガソリン流れに何か影響があるのか?
流体力学的何か?

試しにエンジン始動中に、
ガソリンコックを閉めてみたところ、閉めた瞬間から値が安定した。

やった!何となく解決の糸口が見えてきた気がする。
今の段階では、
「エンジンの振動がガソリンタンクに伝わり、ガソリンを伝わって、センサーを微妙に振動させている。」
ということか!?

それではどうやって解決するか…

 
 
 2011年 1月

 
   
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 少し考えていると、クランクケース内の真空度メーターを製作した時の
 ことを思い出した。
 ピストン上下の脈影響で測定値が不安定だったが、
 機械的RC(抵抗&コンデンサー)方式で解決できたのだ。

 その時は気体だったが、今回は液体であり、振動波の影響だと思ので、
 あてはまらないかもしれないが、とりあえず絞り+容積室でやってみる。

 しかし、悩ましいのは容積室をどうするか?
 今までは、センサー間に空気が入らないようにしていた。
 空気溜まりの悪影響で正確な計測ができないかもしれないと思った
 から。
 
     今度は空気室を作って、それがクッションになれば、C(容積室)として機能すると考えてみた。
 空気室と言っても、とりあえずガソリンホース内に空気が溜まるようにしてやってみる。

 いずれにしても、センサーは流れ影響の少なさそうなところに付け直すことにした。また、ガソリンタンクから遠い方がよい気がする。

 センサー行きホースはキャブレターの入り口部で枝取りすることにした。
 元のものに改造して枝を付けることも可能だと思ったが、鉄のロー付けに簡易メッキのようだし、ホース径もガソリンタンク側と合っていなかったしで、アルミの2017(ジュラルミン)で二股を製作することにした。

 
   
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←2ピース構造で製作
  接合はメタルタッチ(M8締め付け)
  漏れがあればテフロンバッキンを入れるつもり。

 ↓左は元のもの


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 センサーケースも、それ用に作り直した。
 
   
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 機械パーツ完成
 
    電源の見直し

失敗原因の1つに、電源の不安定があった。不安定といっても、普通のテスターでは分からないような、微妙な電圧変動である。リプルと言うのかな。
オートバイのエンジン始動後の電圧は13〜15Vあり、それを5Vに減圧使用するのだが、今まで使っていたDCDCレギュレーターでは、発電機の元電圧変動の影響を受けるようである。
CMOSロードロップ3端子レギュレーターIC「XC6202P502TB」を使用すると、まーまー安定するようだが、念のため、2段減圧としてみる。
元電圧をLM317等の3端子レギュレーターで8〜9Vに減圧して、その後に5Vに減圧する。
また、PICのA/D変換は、その5Vから、4.096Vの基準電圧ICを使用して変換することにする。

 
   
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 R(抵抗)には、
 M3の六角穴付き止めネジ
 材質SUS304に
 φ0.4の穴を開けたものを
 とりあえず使用してみる。

 使用したドリル刃は、以前、
 秋月電子通商で購入したもの。

 切り子詰まりで折れないように、
 0.1mm掘っては抜きを繰り返し、
 折らずに貫通することが出来た。

 ガソリンホースは透明なものを
 使用して、C(容積室)の状態を
 確認しながらテストする。
 
   
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ガソリンタンクの不感帯 2011年 3月

 
   
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 ガソリンタンクを塗装に出したので、タンク内をスッカ
 ラカンにした。
 ↓
 塗装後、スッカラカンの状態からガソリンを500mL補
 給した。
 ↓
 オートバイを乗車姿勢の約水平に保ち、ガソリンコッ
 クを予備位置にして、何mL出るかやってみた。

 結果は110mL出た。逆に言うと390mLが出てこない。
 なお、その状態からサイドスタンドを使用した少し左
 に傾いた状態にしても、まったく出てこなかった。

 すなわち、
約0.4Lは通常では使えないガソリンという
 ことになる。
 
    タンクの底は左右に分かれている。ガソリンの入れ方によっては、ガソリンコックと反対側に溜まることも考えられる。
今度はスッカラカンの状態から1.5L投入してから抜いてみた。(乗車姿勢にて)
結果は約0.9L出た。約0.6Lが出てこない。サイドスタンドで少し左に傾けた状態にしても出てこなかった。
約0.6Lは通常では使えないガソリンということになる。

今回はIRCのTR8という新品タイヤを装着しての計測であるが、後輪径が少し大きく、車体がやや前屈み状態なのかも知れない。後サスペンションのバネを強めにしていることも影響していると思われる。

 
                             
 
 
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