(電子工作)
 
 
 PWMスイッチ

 
 
=== オートバイ用電熱服電子スイッチ 2013年 1月〜 ===

道東の春秋は寒い。 (冬も勿論寒いが、降雪後は乗らない。)
外国製の電熱服を着用してみたところなかなか良いが、電気を喰うのに制御がよくない。 信号待ちのアイドリングでは、消費量が発電量を大幅に上回り、電圧がみるみる下がっていく。 国産のグリップヒーターは低電圧になると自動OFFするのになぁ。
っということで、制御スイッチを自作することにした。


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FETの選定

 
   
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 スイッチはFETを使用しようと思って、
 まずはオンオフのテストをやってみた。
 電熱ズボンに接続して 3.6A 程度の電流。

 手持ちFET在庫で試してみたところ…
 あっっちぃー!発熱が凄い。
 ちょっとした放熱板を付けてみたが、
 直ぐに熱くなってダメだ。
 ON抵抗も大きいようで消費電流が少ない。

 手持ち在庫をいろいろ試したが、どれも
 あまり変わらなかった。

 そういえばグリップヒーターの制御基板は
 どうなのだろう?

 FETは小型のK2926が使われていた。
 基板にはいろいろな電子部品が乗ってい
 るので、発熱しない上手い制御方法がある
 のかもしれない。

 難しいのか?挫折するか?!
 
    試しに秋月電子通商から 2SK3163 を買ってやってみた。 デカイし1個300円する。

結果…あら不思議。 発熱しない。 ずーと触っていられる。 消費電流の減少も少しだけだ。
     前回の発熱は何だったのという感じ。 これを採用することに決定。 放熱板は不要だと思われる。

 
 
3色LED

 
    スイッチの切換は1個のボタンにて、OFF→100%→75%→50%→OFF…の繰り返しとする。
状態表示はシンプルな照光ボタンにしたい。 直感で分かりやすいように、次の表の配色にする。

OFF
100%
75%
50%





秋月電子通商の「 3色RGBチップLED アノードコモン (5個入)LATBT66B \200 」を使用してみた。
電力は合計最大200mWと書いてあったので、何回も抵抗を調整し、160mWに抑えた。
それでもかなり明るい。 照光ボタン内蔵用としては明る過ぎるかも知れない。 夜間、目障りなのは好ましくない。

 
   
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 赤
 2.4KΩ

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 緑と赤の同時
 点灯

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 緑
 1.8KΩ
 
 
    青を単独点灯することはないので写真は撮っていなかったが、青の抵抗値は2.4kΩにした。

 
 
ワンチップマイコン

 
    久しぶりに秋月電子通商のPICコーナーを覗いてみると、かなり値下がりしていた。 そんなに安いのなら、高機能の方のチップを買っておけばよいような気がするのだが、そーでもない。 高機能チップは設定するところが沢山あって使いづらいのだ。

今回は、低電圧を検知するためのA/Dが1つ必要。 LED点灯用に3ピン必要。 押しボタンスイッチに1ピン必要。 FETへの出力に1ピン必要。 計6ピンなので、8ピンの12Fシリーズで出来そうだ。

それから、プログラム記述メモリーは、1000ワードもあれば十分だろう。 EEメモリーは必要ない。

それで、以前何回も使用したことのある、PIC12F675 で進めていたのだが…、タイマーが足りない。 っていうか、タイマーをもう1つ使いたくなった。
ソフトで工夫すればなんとか成りそうな気もするが、手っ取り早い方法で
PIC12F683 を使用することにした。

PICのプログラム… 【 heatwear.src 】 (7.57KB)

PICのPWM機能は使用せず、タイマー2の値をチェックする簡単なプログラムとした。 精度は良くないが、電熱線を暖めるだけなので問題無いだろう。
基本部分はすぐに出来て、通電テストでの切換も良好だったのだが、低電圧自動OFFを組み込む時に時間が掛かった。 組み方が悪かったのか、ジャンプジャンプで分かりづらくなった。
やはりある程度のところで、ブログラムリストを紙に出力しないとダメだ。 PICのソフトを考えるのは、しばらくぶりだったので、要領を忘れているところも多かった。

・電圧が下がった場合は自動OFFする。 約0.5秒間隔で電圧チェックする。 (タイマー1割込使用)
・選択 % 色のまま、ゆっくりとした点滅(約0.5秒くらい)とする。
・低電圧時は、選択スイッチ無効とするが、OFFにすることのみ可能とする。
・自動OFFになった場合の電圧チェック間隔は約10秒とする。
・電圧が戻った場合は元の選択 % で自動ONする。

[ 補正 ]

電熱ズボンにて、14.0V通電テストをしたところ100%で約3.6Aだった。
・75%… 単純計算ではタイマー2値は192のはずだが、2.4Aだったので少し足りない。
      タイマー2値を210にして、2.7Aになった。
・50%… 同じくタイマー2値は128のはずだが、1.5Aだったので少し足りない。
      タイマー2値を150にして、1.8Aになった。

 
 
テスト成功

 
    大体思った通りに動作したので嬉しい。 せっかくなのでグリップヒーターもこれで制御することにしよう。
電熱服、電熱ズボン、グリップヒーターの、3つのボタンを並べる予定。

ここで思い付いたことがある。 低電圧で自動OFFしたあと、自動復帰する順番はどうなるだろう?
アイドリングでも14.0V以上になる可能性もある。 (ヘッドライト消灯など)
同期は取っていないので、偶然早く入ったものということになるだろう。 しかし、ほとんど同時のタイミングになるだろうから、直ぐに低電圧になり、自動OFFを繰り返すことも考えられる。

自動復帰の設定時間に、時間差をつけるのはどうだろうか…。 結果は4月以降になる。

 
 
 
 
単体スイッチ製作 2014年 1月〜

 
    予定が大幅に遅れながらもオートバイメーター(テスト)の1つの機能として組み込み最中のところ、掲示板にNKUROさんから問い合わせがあった。
お住まいは愛媛県で、真冬でも通勤で電熱服を使用中とのことだったので、共同開発として実践使用して欲しいと頼んだところOKしてくれた。
早速、単体基板化して開発を進めることにした。 回路、ソフト共に、一体テストしていたものと同じである。
しかし、回路ではどうしても異なるところが3つある。
@12V→5V降圧用の3端子レギュレーターを組み込み
A電圧検知用の分圧抵抗を組み込み
BZNRを組み込み

 
   
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 エッチング後
 穴あけ後の
 基板

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 トナー除去後  
   
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 部品実装後の通電前
 
   
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 通電確認

 出力 0%
 指示LED白

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 通電確認

 出力100%
 指示LED赤
 
   
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 通電確認

 出力 75%
 指示LED黄

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 通電確認

 出力 50%
 指示LED緑
 
 
機械部品

 
   
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 ケースをどうするか?

 製作手間の掛からない簡単なケースにしたい。
 いろいろ考えて、手持ち在庫の□30x30x1.5t
 アルミ角パイプを使用することにした。

 蓋は2mmtのアルミ板で挟む構造にした。。
 
   
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 押ボタンは照光にしたので、今までより少し太くする
 必要があった。

 防水用Oリング、φ6.5リーマ、φ6.3ドリル、
 φ8x15Lx0.5のバネをモノタロウから通販購入した。

 注文後5日で発送になったようだが…
 宅配便の融通が利かなくて受け取りが遅くなった。
 
   
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 ケース内は狭く、FET取付用六角ナットのスパナが入らなかった
 ので、1.5mm六角レンチで回り止め可能な固定ナットを製作した。
 
   
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 指示LED用の拡散被せものとガイドリング。
 被せものは5mmLED用の市販品。
 
 押すと凹むので、内部にクリスタルレジンを充填した。
 
   
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 押ボタンスイッチのガイドリングと抜け止め用Cリング。
 内面はφ6.5mmのリーマ仕上げ。
 Cリングは外径φ8mmで線太さφ0.65mmのステンレスバネをカットしたもの。
 
   
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 指示LEDと押しボタンスイッチの
 ガイドリングはケース内側から
 セメダインスーパーXを塗布して
 防水加工とした。
 
   
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 照光式押ボタン

 φ3mmLED用の被せものを埋め込み、クリスタルレジンを流し
 込んだのだが、きちんと流れ込まない。
 温めたり、爪楊枝で突っついたりしてなんとか出来た。
 しかし硬化後(1日半かかる)組み込んで点灯してみると暗い。
 クリスタルレジンを流し込む前の点灯テストでは、良い感じだった
 のに…。
 気泡がきちんと抜けていないのか!?
 作り直すと2〜3日遅くなってしまうので今回はこのままとした。
 戻ってきた時に修正することにする。
 
 
組込

 
    組込前の最終状態。 ケミコンと主電線が干渉したのでケミコンを裏面に移動した。             
   
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 ケースへ収納
 した状態。
 
   
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 電線貫通部は防水と保護を兼ねて、セメダインスーパーXを塗布して
 から蓋を閉めた。
 
   
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    蓋の防水はケース側の角をC0.75で面取し、組み立て後はV字溝になるので、そこにセメダインスーパーXを塗布した。 なお、皿ネジ組み付け時はセメダインスーパーXを塗布してある。
過去の実績より、防滴性能は問題ないはず。

 
 
ソフト

 
    NKUROさんはヤマハのセローで、電圧計を付けているとのことなので、停車時や走行時の電圧を聞いたところ、僕のDJEBEL250XCより少し低い。
自動オフ電圧12.3Vは問題ないが、自動復帰電圧は変更する必要がある。14.0Vを12.8Vに変更した。

PICのプログラム… 【 NKURO1.txt 】 (7.75KB)

 
 
発送前チェック

 
   
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 出力 0%
 指示LED白

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 出力100%
 指示LED赤

 13Vで3.6A
 
   
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 出力 75%
 指示LED白

 13Vで2.7A

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 出力 50%
 指示LED赤

 13Vで1.8A
 
    [ 失敗談 ]

ケースに入れる前に電熱服を接続しての切り替わりチェックをしたのだが、防水処理が終わって発送前の最終チェックをしたところ…。
表示LEDが白なのに電熱服に100%の電気が流れる。 ???
ワンチップマイコンが壊れた? 内部電線がどこかショートしている?
   ↓
防水処理を剥がして内部を確認するしかない。
   ↓
…やっと分かった!FETをケースに密着させたが、そのフランジがドレインだったので、基板のグランドとケースが接触している部分から通電されたのだ。
基板側に絶縁テープを貼って対策した。

 
 
 
 
グリップヒーターFET断線

 
   
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 快適に使えていたのだが、グリップヒーターが温まらなくなり
 調べると、FETの足が切れていた。

 グリップヒーター用のFETは、ヘッドライトケースの真上に
 固定していたのだが、たぶん振動が原因だろう!

 FETを取替え、元通りに復旧し、今度はスーパーX接着剤を
 たっぷりと盛ってみた。(2018年10月)
 
                             
 
 
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