(電子工作)
 
 
 真空度メーター (2008年 8月末)

 
 
 オートバイのクランクケース内減圧用逆止弁テストにて、その負圧度を7セグメントLEDに表示するものを製作した。

 思っていたよりも小型に作ることが出来たので、設置場所の自由度が高く、右ハンドルのヘルメットホルダーを移設したところに、両面テープで貼り付けた。 (青で「14」表示のもの)


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・減圧用逆止弁が故障すると正圧になることがあるかもしれないので、センサーは負圧と正圧の両対応品を
 選定。
・通常の負圧は、1cmH2O単位で表示する。
・正圧になった場合は異常なので、"HH"表示にする。
・もし負圧度が30cmH2Oを超えた場合は何かの異常ということで"LL"表示にする。
 (通常の負圧度は、4〜20cmH2Oくらいということは、事前の水マノメーター計測テストで分かっている。)

 
   
水マノメーターのテスト状況

 ホース内の水のレベル差で、対大気圧値を知ることが出来る。
 右の写真は、水じゃなくてエンジンオイルを入れてやってみたところ。

主目的はクランクケース内減圧用逆止弁の開発である。

 クランクケース内を減圧することにより燃費が向上するするかも知れないという
 情報を得たため、より大きな負圧を得られるものを試行錯誤していた。

 それで、自作逆止弁開発の目途がついたので、邪魔なマノメーターをやめて、
 スマートな電子メーターを作ったという経緯である。

 しかし、結論として、自作逆止弁を付けて燃費の向上は無かった。
 秋冬のマイナス気温で弁の凍結が問題になり撤去した。
 現在は使用していないが、参考データーとして残しておく。

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微圧センサー

 
    ガソリンタンクの残量計も作りたいと考えていたので、耐ガソリン性で、微圧の正圧、負圧を測れるものを探したところ、"ハウネル製40PC001B1A"を見つけた。
9,800円(税込)もして高額だと思ったが、5Vの電圧を供給するだけで比例出力電圧が得られ、簡単手軽に扱えそうだったので、使用することにした。

 
   
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 供給電圧:5VDC±0.25
 消費電流:10mA max

 圧力ゼロで2.5V出力
 -50mmHgで0.5V出力
 +50mmHg(679.8mmH2O)で4.5V出力

 0.02942237V/cmH2Oということになる。

 電池は大きさ比較用
 
 
ワンチップマイコン使用による設計

 
    "PIC16F88"を使用して、7セグメントLED表示とアナログ→デジタル変換を行う。

7セグメントLED温度計を製作したときは3桁だったので、ピン数が足りず、高速でスイッチング点灯するダイナミック点灯方式にしていたが、2桁なら普通にダイレクト点灯可能である。
RAポートとRBポートを、それぞれ1桁ずつ割り当てることにより、ソフトは簡単にできそう。

 ・表示単位は1cmとする。

 ・表示範囲は0〜30cmとする。
 ・正圧の場合は"HH"表示とし、マイナス30cmを超える場合は"LL"表示とする。

 ・今回、テスト的にウォッチドックタイマーを使用してみる。もし、ウォッチドックタイマーが働いたなら、
  "UU"表示にしたまま停止させる。電源を入れ直せばリセット再起動となる。

 
 
7セグメントLED

 
    直射日光が当たった場合、"赤"より"青"が見えやすいようだ。手持ち在庫で、秋月電子通商から買っておいた"551-UB"を使用する。

 
   
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 表示は2桁で、ハンドルの横に両面テープで
 取り付けようと考えていたが、出来るだけ薄く
 作りたいので、7セグメントLED表面を ミーリング
 マシンで削ってみた。

 ←は1.8mm削ったところ。
 1セグメントのバーが少し短くなった。
 
   
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 1つダメにするつもりで、深く削ってみた。
 3.5mm削ると、端子が露出する寸前になった。

 その状態で点灯させてみると、「−」じゃなくて「・」の点灯に見えた。

 
2mmくらい削ったところで止めておくのが無難という結果だった。
 
   
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 点灯テスト状態

 1セグメント間が少し離れたが、数字として認識する
 のには問題無い。
 
 
ハード構成

 
   
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 7セグメントLEDの裏に、PIC16F88を収めることが
 できた。

 7セグメントLEDとPICの接続関係はテキトー。
 最も近い位置で接続し、点灯パターンは、
 ソフトで合わせる。
 
   
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基板パターン

7セグメントLEDには、カソードコモンとアノードコモンの2タイプがあるが、どちらでも選択使用可能な配線パターンにした。

実は手持ちの在庫が、それぞれ1コずつしかなかったので、今回は1桁目をカソードコモン、2桁目をアノードコモン接続で製作した。
 
   
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 PICとテキトーに接続した結果、左図のようになった。
 1桁目と2桁目の、0から9まで、それぞれについて、ソフトで点灯
 パターンを合わせた。

 プログラム

 PICのプログラムはこちら … mano7_1.src (10.7 KB)
 
 
    A/D値のテーブル変換

PIC16F88でA/D変換をすることは難しくないが、A/D値と表示値をどのように設定するのかが悩みどころ。
高精度は必要ないが、出来るだけ分かりやすいように考えた。

下の表は、センサーの出力電圧と圧力の関係。
出力電圧を2/3に分圧すると、A/D値は10mmH2Oで、ちょうど「1」変わることが分かる。
 (実際には小数点の値はない。)
すなわち、1A/D値で1cmH2Oということで、分かりやすいと思う。
問題は、そのA/D値をどうやってcmH2O表示にするかということだが、今回はテーブル方式を使った。
表示は-30cmH2Oまであれば十分だから、パターンは30コ程度。
プログラム領域は十分足りる。

 A/D値85の場合…LED表示00
 A/D値84の場合…LED表示01
 A/D値83の場合…LED表示02
 A/D値82の場合…LED表示03
      ・
      ・
 A/D値75の場合…LED表示10
      ・
      ・
 というように、羅列していくだけ。

V mmHg mmH2O A/D値 A/D値
補正前 分圧後
2.53 0.74 10 129.5 86.3
2.50 0.00 0 128.0 85.3
2.47 -0.74 -10 126.5 84.3
2.44 -1.47 -20 125.0 83.3
2.41 -2.21 -30 123.5 82.3
2.38 -2.94 -40 122.0 81.3
2.35 -3.68 -50 120.5 80.3
2.32 -4.41 -60 119.0 79.3
2.29 -5.15 -70 117.5 78.3
2.26 -5.88 -80 115.9 77.3
2.24 -6.62 -90 114.4 76.3
2.21 -7.36 -100 112.9 75.3



 
   
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 余談

 過去に議論されている内容だと思うが、7セグメントLEDで「7」を表す場合、
 3セグメントで表すか、4セグメントで表すか?

 オートバイの純正スピードメーター(デジタル)を見て、「あれっ、3セグメントだ!」
 っと思った。後付けした社外デジタルタコメーターは、4セグメント表示だった。
 
    それから失敗談を少々メモっておく。

いつものようにプリント基板を作り、部品をハンダ付けし、まずは全セグメントの点灯確認をソフトから実行してみたところ、あれっ?!1つ点灯しない。

RA5に接続したところが点かない。RA5は入力の設定しかできないが、電気を吸い込むのは可能だと勘違いしていた。

RA5のところが点かなかった場合、2桁目の"1、2、3"は可能。
"4、5、6、8、9、0"は表示できないが、39cmまでは表示できることになるので、まっいいかなぁー。

しかし…"HH"表示が出来ない。また、逆さまに使用することも出来なくなる。
逆さま使用とは、" . "を使用しない場合、上下逆にすることが可能なのだ。ソフト上で1桁目と2桁目を入れ替え、点灯パターンをちょっと直せばよい。 接続配線を右出から左出しの反対方向にしたい場合など使える。

PIC16F88のデーターシートを見直してみると、RBピンの一部もA/D変換ピン設定できることが分かった。それはとても助かる機能だ。
なぜなら、RAポートも0から7まで8ピンあるが、RA5を使用せず、他のRAピンどれかにA/D変換を割り当てると、RAは残り6ピンになってしまう。不足の1ピンをRBピンで補うことはできるが、1つの7セグメントLEDをRAとRBの2つポートで制御することになると、ソフトの設定が複雑で面倒になってしまう。
RBピンにA/D変換設定をすると、RA5のピンを使用しなくても、RAとRBに7セグメントずつ割り付けることが可能になる。

それで結局、基板を作り直した。


 
 
ケース省略ワザ

 
   
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 防水性が必要なので、いつものようにアルミ削り出し
 ケースを作ろうと思ったのだが、フタを止める小ネジ
 のタップ加工などを考えると、ケースが大きくなってし
 まう。

 それでエポキシ樹脂で固めてしまうことを思い付い
 た。 アルミでケースを削り出すよりは簡単にできる。

 しかし、配線の穴はテープで塞いだつもりだったのだ
 が、 エポキシ樹脂が流れ出てしまった。
 樹脂が固くなってきて流れなくまで、補充し続けて、
 なんとか充填することができた。
 木工用ボンドなどで塞いでおけばよかったと反省。
 
   
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 硬化後、型を外して、ミーリングマシンで切削。

 約27mmx21mmx11mm厚の大きさにできた。
 
   
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 裏面

 後でプログラムを書き換えられるように、
 MCLR、PGC、PGDに丸ピンソケットを埋めてある。
 そのソケットには防水対策として、セメダイン
 スーパーXでフタをする。

 PGCのピンは、7セグメントLED点灯用に使用して
 いるので、プログラム書き換えPGCピンとして使用
 する時は、カーボン抵抗を取り外す必要がある。
 エンドミルで溝を掘って埋設したが、この後、
 セメダインスーパーXでフタをした。
 
   
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 7セグメントLEDの表面には、自動車の窓用フィルムを
 貼った。

 これは直射日光が当たった場合見え難くなるので、
 その対策。
 今までは2mmtのアクリル板スモークを使用していたが、
 これでも十分である。
 
 
センサー基板

 
    オートバイの電源は12Vなので、5Vに減圧する必要がある。また、7セグメントLEDとPICの基板には、このセンサー基板から5Vを供給するようにした。

青い細長い部品は、多回転ボリーム抵抗。センサー出力電圧を2/3に分圧調整する。

 
   
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 センサー出力に0.1μFを追加修正

 PICに接続して、アナログデジタル変換表示させて
 みたところ、値が不安定だった。
 パカパカ変わる。
 コンデンサーを仮に付けてみたところ、ピタっと安定
 したので、基板の裏面(パターン側)にチップコンデン
 サーをハンダ付けした。
 
 
センサー基板ケース

 
    最近はこのパターンばかりだが、アルミ削り出しの箱に透明アクリル板でフタをしたもの。フタにはセメダインスーパーXを塗布して防水対策とする。フタの取付ネジはM2。

センサーは絶対圧ではないので、外側には大気圧を感じさせる必要がある。そのため、配線の下にニップルをつけて、そのニップルには適当な長さのチューブを付けて下に垂らしておいた。洗車などで水が入るのを防止するため。

 
   
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 3端子レギュレーターの放熱

 定格をオーバーしていないはずだが、ケースに収める前のテストで、
 指で摘むとかなり熱くなっていて、ちょっと心配になった。

 そこで、アルミのケースに密着させて、放熱板兼用にしてみた。

 なお、3端子レギュレーターは、秋月電子通商から購入した、
 XC6202P502TBを使用。
 5V150mAで動作電圧範囲は、〜20Vとなっている。
 
 
RC調整

 
    センサーの接続口は、ラジコンエンジン用のφ2.5xφ5mmのシリコンチューブがちょうど良い太さ。

クランクケース逆止弁には、それ用の市販ニップルを取り付けた。取付ネジはM3.5。

エンジンを始動させて接続してみると、表示値がまったく安定しない。脈圧のどこか一瞬だけを計測されるためだと思うが、
予想していたことだ。

 
   
そこで、市販ニップルの穴を真鍮丸棒でふさぎ、φ0.6mmの穴に
開け直した。電気的に例えると抵抗を入れるのと同じこと。
しかし、不安定は収まらない。
今度は
φ0.35mmの穴にしてみた。穴の長さは2mm。
 (穴開け加工は神経を使う。ちょっと無理するとドリル刃が
 折れてしまう。)
しかし、不安定は収まらない。…

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 今度はチャンバーを付けてみることにした。
 電気的に例えるとコンデンサーの感じ。

 とりあえず100mLのアルミ容器を使用してみた
 ところ、安定した。
 しかし、今度は応答性が悪くなった。
 容量が大きすぎたようだ。

 それでその容器に水を入れて、空気部の容積を
 少なくしてみたところ、8〜9割くらい水を入れても
 安定することが分かった。
 
   
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 手近な少ない容器を探したところ、35mmフィルム
 ケースがあったので、とりあえずそれを使うことに
 した。
 容量は約30mL。


 センサーの設置場所

 ガソリンタンクの下には、意外と空きスペースが多い
 ことが分かり、ガソリンタンク取付ボルトのすぐ横に、
 両面テープで貼り付けた。
 
   
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 とりあえず完成

 水封式のマノメーターを取り外したので、スッキリ
 した。
 (もちろんマノメーターよりも見やすい。)

 35mmフィルムケースのチャンバーは、冬期間に
 小型のものをアルミで作って取り替える予定。

 だった…。
 
                             
 
 
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